第10回音楽講義のお礼と学び

新学期がスタートしました。子供たちは学年が上がったりクラス替えがあったり、新しいことでいっぱいの4月を迎えています。私もまた、はじめまして♪の生徒さんとの出会いもあったりしながら、今年度はどんな1年になるかな〜と、ワクワクしています。音楽は大人になっても歳をとっても楽しめる世界なので、これまでの自分自身のピアノ人生を振り返ってもそうですし、生徒さんとのお付き合いの中でも、長い年月をかけながら味わえるもの、見えてくるものが色々あるなぁと感じます。

さて、今週木曜日はいよいよ第11回目の講義となりますが、先月末の第10回にご参加くださった皆様、本当にありがとうございました。
第10回目は【シェイクスピアとゴッホ】の回でした。私は回を重ねるごとに登場する芸術家1人1人の輝くばかりの個性を今回も楽しみながら、それでもなお西洋の芸術作品全てに一貫して描かれ続けた『存在』への深い問いが、やはりここにも投げかけられているのだと、大変興味深い思いでした。

劇作家であったシェイクスピアは、舞台芸術として主に悲劇を表現することで、人々に「自己の存在(真の姿)」への考えを促し、視覚的に魅了しました。全てを失ったリア王が無から奇跡を生む瞬間のシーンなどは、まさに音楽における「ファンタジー」そのものです。
また、画家になったゴッホの父親は牧師でした。そのため、ゴッホは幼少期より聖書等の文学的書物にも深く精通し、描く対象そのものの中に「自己の存在」を投影しながら、宗教的秩序としての象徴をその絵の中に秘めました。

文学と絵画、時代も分野も違う2人の話だったからこそ、彼らの作品の共通点を見出せたことで、ますます西洋の芸術作品に受け継がれてきた深い問い【存在とは何か】の意味を大きく感じることができました。

 

イデア・ミュージック・アカデミー
東海教室主任講師
日野あゆみ