《くるみ割り人形》上原彩子 クリスマス ファミリーコンサートに出かけて
《くるみ割り人形》上原彩子 クリスマス ファミリーコンサートに出かけて

12月最初の土曜日、ピアニストの上原彩子さんによるファミリーコンサート『くるみ割り人形(お話付)』があり、岐阜県大垣市まで出かけてきました。

 

 

『くるみ割り人形』は、イデア・ミュージック・アカデミー東海教室の、2022年冬の発表会でも生徒さんたちと《ナレーション付き》で取り組んだ作品でしたが、今回は上原彩子さんご自身が編曲されたものも聴けるとのことで、以前からとても楽しみにしていました。

 

待ちに待ったコンサートがはじまりました・・・ステージには〝クリスマスツリー〟と〝くるみ割り人形〟が飾られていましたが、派手な演出は一切なく、上原さんの優しいお話と演奏に合わせて、下田冬子さんという方の温かなイラストが反響版に映し出されていました。昨今は、クラシック音楽を伝えていく本来の意義がわからなくなるような、エンターテインメントに走り過ぎた演奏会も増えていますが、今回のコンサートはその素朴さゆえに、大人も子供も純粋にピアノの音色に耳を傾けることができる素晴らしいコンサートでした。

 

『くるみ割り人形』はチャイコフスキーが作曲した最後のバレエ音楽です。バレエの公演では色とりどりの衣装を着たバレリーナたちがオーケストラの演奏に合わせて様々な踊りを繰り広げます。今回は《ピアノとお話とイラスト》のみのシンプルな舞台でしたが、高音から低音まで鍵盤の広い音域を使って奏でられる上原さんの深く色彩豊かなハーモニーと躍動する軽やかなリズムは、まるで情景が目の前に浮かんでくるように美しく魅力的で、華やかなバレエの舞台とはまた違った〝音楽そのものが持つ力〟や〝ピアノという楽器の可能性〟を存分に感じさせてくれるものでした。

 

〜クリスマス・イヴに〝くるみ割り人形〟を贈られた少女が、人形と共に夢の国を旅する〜というこの物語は、ドイツの作家E.T.A.ホフマンの書いた童話『くるみ割り人形とはつかねずみの王様』が原作となっています。童話やおとぎ話には、普遍的で本質的な世界が描かれていることも多く、現実から夢、夢からまた現実へと戻ってくる『くるみ割り人形』の幻想的な物語は、子供たちにとっては安心していられる世界、そして大人にとっては忘れてはならない大切な世界を描き出しているように思います。

 

多くの作曲家たちが〝夢〟や〝幻想〟の世界に魅了され、そこに何か本質的なものを感じ取りながら優れた作品を遺しました。それは現実では経験することのないイマジネーションの世界。しかし、そのイマジネーションの世界にこそ芸術作品の持つ美しさや存在意義があると信じたのです。リアルさに価値が求められる現代では、日常の些細なことからもイマジネーションを育む機会が失われていくようにも感じますが、リアルでありながら美しい夢を見ているような生のコンサート空間からは、上原さんの〝音楽と子供に対する深い愛情〟を感じられるようでした。

 

下田冬子さんのイラスト

 

 

イデア・ミュージック・アカデミー
東海教室主任
日野あゆみ

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