11月13日木曜日、中西学院長による【オンライン ピアノ テクニック講義 】〜ショパンの奏法〜 第6回《後世への影響とその他の奏法》を開催しました。
最終回となった今回の講義は、ショパンからその美しい奏法を直伝された弟子たちや、同時代に生きた評論家たちの言葉に心を寄せながら、ショパンが当時どのような音楽を愛し、どのような音色でピアノを奏でていたのか、その本質に想いを馳せる時間となりました。
多くの物事に効率と正確さが大切とされる現代においては、ピアノ演奏へ求められるクリアなテクニックも例外ではなくなってきています。しかし、明確でわかりやすいということは良い面もある一方で、そこに存在する微妙なニュアンスや繊細な心の動きを感じとれなくなってしまう大変危険な面があることを私たちは忘れてはなりません。
〝音楽は音によって思想を表現する芸術である〟と書き残したショパンが、表現するための道具である楽器や手全体をどのように捉え、何をもって完成されたメカニズムと考えていたのか、また、どのような演奏を、本当にテクニックのある演奏だと感じていたのか、講義を聴きながら改めて考えさせられました。
ショパンはまた、〝指の造りはそれぞれ違うのだから、その指に固有なタッチの魅力を損なわない方が良く(損なってはいけないのは当然である)、逆にそれを十分活かすように心がけるべきだ。〟という言葉も残していますが、この言葉はまるで、意味のない粒ぞろいの高速音の羅列や機械的なリズムの均一さは本来のクラシック音楽とはかけ離れた不自然なものであり、それが目的になるような練習は避けるべきだという警告のようにも受け取れました。
自然の理にかなった力みのない奏法を後世に伝えたいと願っていたショパンの、人体への深い洞察に感動するとともに、現代を生きる私たちは、様々な情報から得た表面的な模倣に陥らず、1人1人が作曲家の心の声に耳を傾けることが大切なのだということを学びました。
蒸し暑かった6月から開催してきたテクニック講義全6回も、今回を持ちまして終了いたしました。お忙しい中をご参加くださった皆様、また、アーカイブでお申し込みくださった皆様、本当にありがとうございました。
また、あたたかくなる頃に何か企画できたらと思っております。
イデア・ミュージック・アカデミー
東海教室主任
日野あゆみ